Instagramのフラットデザイン・アイコン変更に対するマーケティング・広報戦略に感動した
先日Instagramは広告配信において、リターゲティングターゲティング広告の開始を発表しました。
しかし、それよりもかなりインパクトの大きいデザイン変更を行いました。
全面フラットデザイン適用&アプリアイコンの変更を適用したのです。(先月からA/Bテストを行っていました。)
UI変更を行う時、ユーザーからは賛否両論があるものですが、Instagramはこれほどの大きなデザイン変更において"適切かつ効果的な“マーケティング・広報戦略を立てて実行していたことに、アドテク担当者として非常に感銘を覚えました。
なので、それをまとめてみます。
デザイン変更を行う際、必ずABテストを行っているしそこで「収益に影響が無いか」を見ている
Instagramとはご存知の通り、Facebookが買収した企業です。
Facebookは上場しているので、当然ながら営利企業である。
ということは、今回のInstagramのフラットデザインへの変更で収益に良い影響が無ければ変更する理由が無くなります。(ユーザー目線のことを考えて、の変更ではあると思いますが、第一は収益に影響が無いことを見ているはずです。)
一般的にウェブサービスのデザイン変更は「ユーザー離脱」という痛みを伴う
普段使っているサービスのデザインが変更されると、最初は回遊率が減り直帰率が悪化します。
今まで使っていた機能がどこにあるのか、ユーザーが判別しにくくなって利用を諦めてしまうためです。
EC系サービスとかは特に気を付けてデザインの変更を行う必要があります。
デザイン変更に伴うユーザーの離脱を防ぐためにInstagramが行った広報・マーケティング戦略が素晴らしい
今回のInstagramの対応の何に感銘を覚えたかというと、Instagramのデザイン部門の責任者が今回の変更に至る経緯等をしっかり公開しているのです。(何とコンセプトムービーまで用意している…!)
外部リンク1:Medium(デザイン責任者のブログ)
外部リンク2:Instagram公式ブログ
デザイン変更においてInstagramの収益源である広告収入は担保されているはずです。
ユーザビリティー(直帰率とか滞在時間とかの指標)については担保されているかは分からないですが、きちんと変更の経緯をデザインチーム責任者が説明することでユーザー目線での変更であることを強く示し、むしろInstagramへのファンを増やしているのです。
これは日本企業もしっかり学ぶべきだと思います。
僕はInstagramの姿勢からAppleに近しいものを感じました。
Appleも新製品発表の時に、デザインの統括責任者であるジョナサン・アイブが登場してしっかり説明します。
日本企業でこの例ってあまり無いような気がします。(そもそも、CDO=チーフ・デザイン・オフィサーという役職自体日本にはあまりありませんよね。)
ユーザー目線であるというのはこういうことで、それが"熱狂的な“ファンを作るのだと痛感しました。
Instagramがフラットデザインへ変更した理由
今回のデザイン変更ももちろん、ABテストを行った結果全面適用したとのことでした。
また、フッター(固定)とヘッダーが背景色"青"から"白"へと変更されました。
さらにフッター部分のアイコンもシンプルな黒色のフラットアイコンに変更されました。
周囲の色が白い方が、コンテンツが引き立ってクリック率が上がりやすい
広告配信を主な収益源としているInstragramの場合、広告のクリック率は今回のABテストで"絶対に"見ている指標なはずです。
もし見ていないのであれば、社内で大混乱になるはずですのでほぼ間違いないと思います。
フッターが白色であることは、それだけコンテンツが引き立ちアクションも増えているでしょう。それは広告に対しても同様です。
アイコンも統一感を持たせるためにフラットデザインに変更した
今回一番Instagram社内で揉めたと考えられるのが、アイコンの変更です。
理由は簡単でABテストが出来ないからです。
元々iPhone使いの僕は、Instagramのアプリアイコンだけフラットデザインでないことに違和感をずっと覚えていました。(確かiOS8くらいでApple純正アプリは全てフラットデザインに変更され、TwitterやFacebook等アプリ提供サービスも追随したと記憶しています。)
カメラのような質感を持たせることは、Instagram社内での考えだったとのことで、今回のフラットデザイン統一を機に新しい時代を迎えることになります。
普段カメラや写真に興味が無いためにInstagramを使うことはほとんど無いですが、ユーザー目線のプロダクト・デザイン開発の手法に非常に好感を持ったので、アドテク文脈でもしっかりウォッチしていこうと思います。