iOS6より導入されているAppleのiOS端末における広告識別子「Advertising Identifier(IDFA)」。
これまでは「UDID(Unique Device IDentifier)」という端末識別子を利用して広告配信等を行っていました。
しかし、端末識別子はユーザーがリセットすることが出来ず、100%個人を特定できてしまう情報のため、セキュリティの観点からIDFAがiOS6より導入されたのです。
これはAndroidにおけるAdvertising ID(AdID)と同様のもので、ユーザーがリセットを行うことのできる広告配信用の識別子です。
Androidの広告ID「Advertising ID = AdID」は広告識別子として100%の精度を誇る端末IDである
CVテストのためにAndroidの広告識別子「AdID(Advertising ID=広告ID)」をリセットする方法
今の精度では100%ユーザーの特定を出来るといっても過言ではない精度であるため、Apple側も「広告配信における利用以外は認めない」と宣言しています。
GoogleがなぜAndroid端末を出したかと言うと、スマートフォンのアプリ市場の巨大さ(≒アプリ広告市場の広大さ)を認識したからに他ならないです。
検索エンジンを制覇したGoogleだが、iOS端末のアプリ利用者の動向を把握できなくなったことに気付いた
そもそもウェブのリスティング広告やディスプレイ広告をここまで牽引した大きな要素が「Cookie計測」です。
Cookieの情報に基づいて広告配信を行うことで、ユーザーをターゲティング出来るようになり広告配信の精度は飛躍的に高まりました。
ウェブサイトという「面」に配信していた時代から「人」に配信する時代に変わったのです。
GDNのターゲティング方法は6種類ある!配信効率化を図るために覚えよう
ですが、現在はPC以外にもスマートフォンやタブレットといった、複数のデバイスを1人の人が持つ時代になり、Cookie計測の限界を痛感することになります。
Cookieとは正確にはブラウザに紐づくユーザー情報のため、別ブラウザ(Chrome → FireFox等)はもちろんデバイスを跨いで同一人物であることを特定することは出来ません。
ですが、広告識別子(IDFA)であれば、ユーザーがどのアプリを利用していても同一のIDFAが紐づくため、全アプリを跨いで広告配信を行うことが出来るのです。
スマートフォンやタブレットは爆発的に普及しており、近い将来ウェアラブル端末等も普及するでしょう。
オーディエンスターゲティング×ウェアラブル端末でいずれ訪れる怖い未来
「アプリ」という新たな生態系における広告配信を行うには、IDFAが不可欠なのです。
スマートフォンでの広告識別子はAppleに握られてしまっている。だからGoogleは「Android OS」を作った
Appleには検索エンジンの側面はありませんでしたが(AppStoreの検索面に広告を露出する計画があるらしいですが)、IDFAという独自の広告識別子を擁しており、ここからGoogleの牙城を攻めに行く可能性はあります。
Googleの動きは素早かったです。
NexusのようなGoogle純正のスマートフォンの開発よりも「Android OS」の開発を最優先させました。
何とGoogleは「MicrosoftがPCでやったように、スマートフォンのOSを制覇してしまえばアプリ広告も握れるじゃん」と考えたのです。
ここに、Appleはハードウェアの企業だがGoogleはソフトウェアの会社であるという違いが表れ、それは確かに正しかったと思います。
Googleはアプリ広告の配信においても、世界一の地位を揺るぎないものとしています。
もしOSの開発よりハードの開発に力を入れていたら…混沌とした時代になっていたでしょうけれども、Appleファンとしてはその時代も見てみたかったなと思っています。