最近のパソコンゲームって画面の表示だけじゃなく効果音やBGMもすごくいい音になっていますよね。
パソコン側のスペックもすごく上がっているのでゲームの「容量」をあまり気にする必要がなくなったのも大きな要因だと思います。BGMなんかはパソコンゲーム黎明期とは全く違って、音楽を「録音」したものをそのまま再生するような形になっています。
データの品質こそ違いはあると思いますが、原理的にはウォークマンなどのポータブルプレイヤーで音楽を再生するのと何ら違いはなかったりします。
ネット動画でも音楽のPVなど音にそれなりにこだわった作りのものも増えています。
そういったコンテンツをパソコンでもっといい音で楽しみたいとき、どうやったらパソコンで出す音のアップグレードが出来るでしょう?そこのあたりの事情をザックリまとめてみたいと思います。
今回ご紹介する方法は以下の3つです。
- (良い)パソコン用スピーカー
- パソコンと接続しやすいピュアオーディオ
- ヘッドフォンでいい音を聴く
基本線
まずはパソコンの音をアップグレードするときに念頭に置いておいた方がいいことをまとめておきます。
基本的にパソコンと音、オーディオというのは、音質の面ではあまり相性がよろしくありません。
パソコンの中身というのはオーディオ的には分離しにくいノイズだらけの世界です。また、パソコンの電源はオーディオで使われるような電源とは供給される電力の品質が全然違っていて、かなりシビアなアナログ回路のオーディオ機材にはやっぱり全然適していません。
最近のパソコンはサウンド回路をかなり頑張ってはいるのですが、上の二つの弱点などの関係からパソコン内蔵のサウンド回路の音質には高くない限界があります。
ですので、パソコンの音をアップグレードするときにまず考えた方がいいのが、「パソコン内蔵のサウンド回路を使わないようにすること」です。
このあとの説明もここを基本にして考えています。
高音質のパソコン用スピーカー
メーカー製の一部のパソコンを除けばパソコン本体にはスピーカーはついていないことの方が多いです。
ですので多くの方は後付けでパソコン用スピーカーを接続して音を出していると思います。このパソコン用スピーカーを高音質なものにアップグレードするのがこの節で取り上げる方法です。
ちなみにパソコン用スピーカーというのはスピーカー側にスピーカーを動かすための「アンプ」を内蔵した製品が多いです。
安いパソコン用スピーカーはスピーカー自体もアンプもとりあえず音が出ればいい、ぐらいの作りになっていますし、サウンド回路もパソコン内蔵のものを使います。ですのでどう頑張っても音の質には限りがあります。
高音質のパソコン用スピーカーで評価がいいものは、アンプやスピーカー本体部分にオーディオ製品のクオリティのものを使っています。また、パソコンからは音の信号をデジタルデータのまま出してもらって、スピーカー側の高品質なサウンド回路を使います。
このパソコンのサウンド回路の代わりになるオーディオコンポーネントをDAC、USB DACなどと呼びます。
これによってパソコン内部の、オーディオにはとてもよろしくない環境を切り離すことが出来るようになっています。
このタイプのスピーカーのおすすめ品はクリプトンという会社のKS-1HQMだったのですが、しばらく前に生産が終了してしまったようです。
パソコン用スピーカーとしては異例に高価な製品でしたが、音の方はパソコン用スピーカーの枠を完全に飛び出した「ピュアオーディオ」と言っていいレベルのものでした。
音質面・価格面でこの製品の後を継ぐようなスピーカーがないのがちょっと痛いところです。
パソコンと接続しやすいピュアオーディオ
こちらは一般的なオーディオスピーカーとパソコンと接続性が高いアンプ、「USB DAC内蔵アンプ」というタイプの製品の組み合わせになります。
パソコンとアンプをUSBコネクタで接続。アンプをパソコンのサウンド回路の延長のパーツ的に使います。
このパターンなら、音質的にはもう一般的なパソコン用スピーカーとは雲泥の差、といっていい本当のオーディオレベルの音が楽しめます。
が、その分予算がかなり余分に必要になる所が難点です。あと、スピーカーも大柄になりやすいですしアンプを置く場所も必要になります。
そのあたりをクリアできるなら著者がもっともおすすめしたい構成でもあります。
予算的にはアンプ+スピーカーで5万円ぐらいから。出来ればバランスを取ってアンプとスピーカーの予算はだいたい均等になるようにしたいですね。
おすすめパターンの一つはこんな感じになるでしょうか。
TEACのAI-301DA-SP
YAMAHAのNS-B3300
予算的には7万円コースですので決して安い買い物ではありません。必要性をよく考えた方がいいでしょう。
ヘッドフォンでいい音を
予算的にもう少しお手軽な範囲で収るのがヘッドフォンでいい音を聴く方法。
こちらは「USB DAC内蔵ヘッドフォンアンプ」とお気に入りのヘッドフォン、イヤフォンがあればOKです。お手元のヘッドフォン、イヤフォンが既にいいものならばわざわざ交換する必要もありません。
こちらもカギは「USB DAC」で、パソコンの外側にサウンド回路に相当する働きをするコンポーネントを置くことでより良い音を実現してくれます。
こちらは最近流行の「ハイレゾ音源」に対応するヘッドフォンアンプでも1万円ぐらいから入手できます。パソコン内蔵のサウンド回路とは数段レベルの違う音で色々なコンテンツを楽しめるようになります。
おすすめの一例はこの辺りでしょうか。
FiiO Q1 MarkII
予算は必要。でも得るものも大きい
パソコンの音を本格的にアップグレードしようとすると必要な予算は結構大きなものになります。一番効果的なUSB DAC内蔵アンプ+ピュアオーディオスピーカーの組み合わせだと5万円以上の予算が必要です。
これだけお金を使う機材の追加とそこまでいい音が必要なのか、アップグレードを考えるユーザーそれぞれが判断する箇所です。
もちろんお金をかける分、見返りは大きいですよ。
音楽を聴くのが好きなユーザーならトライする価値は十分にあります。また、ゲームのSEやBGMなんかも、今まで聞えなかったようなパートまで聞えてくることも多々。
最近ちょっと話題のハイレゾ音源なども最良に近い環境で楽しめますし。
ちなみに著者はパソコンにTEACのA-H01というUSB DAC内蔵の小型アンプとDALIのOBERON 1を組み合わせてパソコンで音楽を楽しんでいます。