スマートフォンをはじめとする最近のデジタルガジェットの多くがUSBコネクタを使って電気をもらう仕組みになっています。
コネクタのカタチなどがある程度統一されていますので、すごく広い範囲で充電器やモバイルバッテリーの流用が利く便利な仕組みです。
ですが、中身を少し細かく見ていくと、充電にはいろいろな規格があってユーザーが思ったような動きをしてくれないことがあります。もうちょっと具体的に言うと、「もっと速く充電できると思ってたのになぁ」的な事態になることがある、ということですね。
今回はUSBコネクタを使った充電の規格や互換性のお話を整理してまとめてみます。
USBコネクタからの充電の規格の種類
スマートフォンなどで一般的に使われている充電で「急速充電」と呼ばれるタイプのものは、だいたい5Vで2A前後かそれより大きな電気を受けて充電を行なうやり方です。
この「急速充電」の枠の中に、もう少しいろいろな充電の規格、仕組みがあります。
今、よく使われている仕組みはスマホの心臓部のチップを作っているクアルコムが提案した「Quick Charge」という規格です。
直訳するとまんま急速充電になりそうな言葉ですが、Quick Chargeは独自の充電の規格のことです。この規格にはバージョン2とかバージョン3があってそれぞれ「QC2.0」とか「QC3.0」と略されています。
QC2.0もQC3.0も最大で9V2Aの18Wの電力を送れる仕組みです。
もう一つ最近出てきたUSBから電気を供給する仕組みに「USB PD」という規格もあります。
こちらはもっとたくさんの電力を供給出来る仕組みで、スマートフォンだけでなくノートパソコンなど消費電力が大きなガジェットも十分動かせるような規格になっています。
こちらは最大100Wも電気を送れます。
この辺り、規格がいくつもあってスマートフォン、モバイルバッテリー、ACアダプタのそれぞれがどの規格をサポートしているか、どう組み合わせて使っているかで結構複雑な状況を招いちゃった、ということですね。
iPhoneはQuick Chargeには未対応
次にスマホ側の状況を見てみましょう。
まず基本のひとつとしてiPhoneはQuick Charge規格には対応していません。
このためQuick Charge対応のモバイルバッテリーと組み合わせても、通常の急速充電より速く充電をすることが出来ません。
その代わりiPhone 8より新しい機種ではUSB PDに対応しています。Lightningコネクタへの変換ケーブルを使うことで、最大18W程度の電力を受けてより速い充電が出来るようになっています。
AndroidはQuick Charge対応機が多い
それに対してAndroidスマホではクアルコムのチップを使った製品が多く、充電の規格もQC2.0やQC3.0の則った製品が多くなっています。
こちらも最大18Wの電力を受けて充電が出来ますので、従来の急速充電よりかなり速いスピードで充電を終わらせられます。
モバイルバッテリーとACアダプタはQC対応がまだまだメイン
次にスマホなどに電力を供給する機材の方を見てみます。
モバイルバッテリー、ACアダプタ側は今はまだ多くの製品がQuick Charge対応までに留まります。
USB PDのほうが後から出てきた規格で対応するスマートフォンがなかなか増えなかったこともあり、ACアダプタやモバイルバッテリーはまだまだUSB PD対応製品が少ない状態です。
購入前に手持ちのスマホが対応している規格とモバイルバッテリー、ACアダプタ側の規格をしっかりチェックしておきましょう。
ただ、規格が上手くマッチしなくても、今の機材なら5V2A前後の電力での普通の急速充電は基本必ず行えるようになっています。
では組み合わせは?
AndroidスマホならQC2.0対応とかQC3.0対応と書かれた機材を購入しておけばだいたいOKです。
USB PD対応をうたっているスマホでもっと速く充電をしたいときには、USB PD対応のモバイルバッテリー・ACアダプタを探しましょう。
次にiPhoneですが、iPhone8以降の機種はUSB PD対応のACアダプタやモバイルバッテリーを使うと充電時間をぐっと短縮できる可能性があります。
ただUSB PDに対応していないモバイルバッテリーでも普通の急速充電は出来ます。
このあたり、携帯電話会社が販売するACアダプタが対応している充電の規格をはっきり書いてくれていないのが状況を面倒にしている原因の1つかもしれませんね。
将来的にはこの辺りの仕組みはUSB PDに集約されていくと思います。今はその過渡期で仕組みが乱立する影響が一番大きく、良くない方に出ている状況だと思います。